―宿屋・談話室―
[思ったよりも眠り込んでいたようだ。
談話室にはすでに朝食の用意が整えられていた。>>6
農園の様子が気になるので、朝食は辞退して帰るつもりだったが、人の口に入るものを育てているという職業柄、せっかく用意されたものを断るのも気が引けるので、朝食だけはいただいてからにしよう。
そんなことを考えていると、ふとシモンがいないことに気づいた。
客として宿泊している他の者はともかく、従業員として働いている彼がいないのは妙だ。
談話室にいたリゼット>>16に尋ねると、ゲルトを探しに行ったという。]
ゲルトがいないって?
[既視感と、胸騒ぎを覚える。
3年前、自分と恋人が訪れた村で巻き込まれた騒動も、こんな風に、一人の村人の失踪から始まった。
外は大雪。
シモンのほかにどれだけいるのかわからないが、人手は多い方がいいだろうと、自分も捜索に加わることにした。]