他の誰かに、獲られるくらいなら、いっそ――仄暗い思考が勝り、指の背で二度、扉をノックした。反応を窺うのはせめてもの、僅かな良心の残滓なのだろう] ――リエヴル、どうした。 ……入って良いか、開けるぞ。[扉に耳を近づけ、中の反応を窺う。何らかの反応を得ること叶えば、躊躇なく扉を開いてリエヴルの元へ。血と硝煙の香を纏う赤く長い髪の吸血種の姿が、同期の男の姿が近づくだろう**]