――回想:1日目――
[前日に朝食を食べる際に声をかけたフィオンは、思っていたほどカスパルを見ても動揺はしなかった。>>16
資料には詳しい経歴は書かれていなかったものの「書けない経歴」で「国外の任務」だとすれば、ただの一般兵ではないことは想像がつく。
カスパル程度に揺らされるような相手ではなかったのかもしれず、彼の見かけから気弱な人物像を勝手に想像していた事を恥じた。
ごく普通に日常の会話を交わしていけば彼の奇妙な初対面時の行動は概ね気のせいになっていたが、こちらへ向けられる視線は気になっていた。
殺意ではない。嫌悪でも畏怖でもない。強いて言うなら興味か。
どこかから自身の噂でも聞いたにせよ、その反応は奇異なものに映ったから興味を引かれていたのもある。]