[――遠い昔。魔界人を名乗る異貌の男が、不可侵領域に程近いキガン島を訪れた。
男は力が強く、闘争と色を好んだ。
その長い寿命の間に多くの子を儲けたが、男の血を引く子は、例外なく額に一本ないし二本の角が生えていたという]
[時が流れ、額に角を持つ魔界人の子孫は、一族と呼べる程の数に増えていた。
鬼族と呼ばれるようになった彼らは、闘争本能の赴くまま周囲の島へ攻め込み、やがて侵略戦争と言われるほどの規模まで戦火を拡大した。
魔界人の特徴を色濃く残す彼らが、不可侵領域近くで争乱を起こすことの意味など考えもせず]