[ところがどっこい、そう上手くは行かなかった。
自分に割り当てられた船室には入れなかった。
何故か?何故か認証式の鍵が認証を行わなかったからだ。
同時に、ダーフィトが自室に着いたタイミングで
音声メッセージの着信を報せる音がけたたましく鳴った。]
うるせーなあ…誰……、
[言葉は最後まで続かない。
内容が船医からの説教だったからだ。それも、大音量の。
指示は一つ。ただちに第二エリアの医務室まで来るように――。]
あァ、ハイハイ。分かったよ。分かりましたよ。
…ったく、寝不足の頭に毒だぜ大声はさぁ。
[ぶちんと声を途中で切り、
自室へ入るのを止めて踵を返す。
大方認証のロックをかけたのは船医だろう。
それとも、ダーフィトと犬猿の仲の上司かも、しれない。
睡眠の恨みは怖いんだぞ。と言いたかった。]