[斬り落とされた右腕を拾うために屈んだ魔獣はクレステッドの声に顔を上げた。そこへ刃が落ちかかる。斬撃は、魔獣の額に紅の月を穿った。が、疲労ゆえにか、動きを読まれたか、それまでより威力のなかった攻撃は、魔獣に致命傷を与えるには至らない。クレステッドの剣が魔獣に振り下ろされるのは四度目となっていた。大きく飛び退った魔獣は、壁を斜めに駆け上がり、コウモリめいて足で天井からぶら下がる。その直下には深紅の雫。**]