……先の小競り合い。
氷竜の中に、親族と……腹違いの弟とが、居たんだ。
[一度呟き出せば。そのまま、意志は裏腹、止まる事はなく。]
片方は、死んだ物と思っていた。
もう片方は……二度と会わなければいいと、思っていた。
[歩みを進める。陣幕の出口、その近くへ。]
氷竜軍である事以上に。
生家を護るのなら、どちらも切り捨てねばならない存在だ。
…………なのに。
次に出会ったその時、引導を渡せるのか考えると。
――――……その、自信が無い。
[……今にも去ろうとする、その背に近付いて。]