[大きい独り言を吐き出して、一人小屋の裏手に回る。
そこにあるブナの大木の根元に転がって、眼鏡をはずす。]
……ちょいと、疲れとるんかもしれんのー。
[頼まれてはいないが軽口を飛ばし、明るく振舞うことで、自分の不安さえ吹き飛ばそうと
……そう、心がけていたが、今は少し気だるくて。]
ほんまは全部どーでもええんかもしれんな。
けど、あいつらの傍におったら、やっぱり仲間の兎が大事なんやーって思う……えらい中途半端や。
…………まあ、でも…
君ら(植物)の養分になり、消え果る方が
狼の胃袋なんぞに収まるよりは何倍もマシやな。やろ?
[本音を呟く。木々は何も言わない。たまにぽつり、と何かつぶやいても、酷く不明瞭で聞き取れなかった。
幼い頃から聞こえていた命の音が聞こえないことに、ふるりと震えて。]
……ちょっぴり、寝かしてや
[少年のように木を見上げ、潮騒のような音に耳を傾け、目を閉じ……五分もたたぬうちに、丸くなって眠りだした。]