[果たしてジムゾンの様子はどんなものだっただろうか。女が知らない彼の派遣理由柄、もしかしたらその家の様子に何か感じるところがあるかもしれない] ……この村、すごく平和な村なの。都と違って夜盗騒ぎとかもごくわずかだし、殺された死体とかだって見つかる事はまずない。 だからあの家の扉、あたしには『異常事態』に見えるんだ。それこそ、昨夜の嵐よりも。[真剣な面持ちでジムゾンに告げた声には、ゲルトの家に踏み込む意志が伝わっただろう。そうして女は、壊された扉をくぐってゲルトの家の中へ──…]