― 回想・外務長官執務室 ―
[褒められてしまった。>>1:289
知的で物静かな、含みのなさそうな素直な言葉。
いい人なんだろうな、きっと。
しかし、世間話で逃がしてくれる人ではなかった。超エリートの鋭角から抉る質問が向けられる>>1:292]
あの場での失言、誠に申し訳ありませんでした。
[まずは素直に詫びを入れ、深々と頭を下げてから顔を上げる。
そう。わたしはラメール王国軍に所属し、王家に忠誠を誓う軍人。
10年前、この国に来てからわたしはずっと、その役を演じている。
疚しい考えなんてどこにもない。
わたしは、志を真っ直ぐ持った軍人の仮面を被ったまま、その思考をなぞるようにして伝える]