叔父上に会って話をし、納得してもらわねば。
ラーニー国第7王子ベリアン・スディーシュ・アヴァリは、もう、国には戻らないと。
[覚悟を決めて歩き出したベリアンはまだ知らない。
政権の奪取をもくろむ叔父が海賊に情報を流して嫡出子の乗る船を襲わせたことも、「天使の鳥籠」の実態を聞き知った彼がベリアンの弱味を握った上で国へ連れ帰り、傀儡の王に仕立て上げようとしていることも、支配の手段としてベリアンに行使せんと昂らせている倒錯した欲望も。
彼らが「客」として黒蝶との接触を求めたのは身分の開示を憚っての偽装だと信じ、オファーを受けるよう、戻って来た緋扇君に頼むのだった。]