[その後、客人の手によってか、駆けつけた従者によってか、部屋まで運ばれた男の前に、サシャが土下座した時には、何故か、彼女に叩きのめされた若い従者達が、わらわらと集まってきて]
「姐さんのせいじゃないですよ!」
「そうです、頭領は、酔っぱらうと、いつも羽目外して手がつけられないんですからっ!」
「むしろ姐さんが気の毒です!」
[などなど、わいわいと弁護だか、ぶっちゃけだか判らない声を上げる様子を、サシャや、客人達はどう見たか。少なくとも、普通の貴族の使用人が並べる台詞ではない事だけは確かだった。
なんでいきなり姐さん呼ばわりなのかというのも恐らくサシャには謎だったろうが、これは彼等なりの尊称のつもりであった]
「姐さん、また稽古つけてください、俺は姐さんみたいに強くなりたいんで」
「俺もお願いします、さっきの技は凄かった。ぜひ、もう一度見せて下さい!」
「あ、お前ら抜け駆けすんな!姐さん、俺もぜひっ!」
[仕舞いには話は明後日の方向へずれていき]