―朝・宿の自室―[ぼんやりと、目を覚ます。幸いなことに、夢は見なかった。昨夜シモンに部屋の希望を訊ねられ>>1:268空きの多い3階の部屋を選んだのは、人と距離を置きたいというだけではなく、うなされていることを悟られたくないという心理の現れでもあった。自分の叫び声で目を覚ますことも珍しくなかったが、今日は平穏に朝を迎えられたことに安堵しつつ、身支度を整えると談話室へと向かった。]