[そうして渇き、頭痛と格闘していたのはどのくらいの事だろう。
時間経過と共に身体の熱も、渇きも
少しは落ち着きを取り戻し始め。
不意に聞こえた壁を叩く音が、全神経をびり、と逆撫でる。
音が聞こえたのは――リエヴルの部屋に面した壁だった。
咄嗟に起き上がり、扉を開いて廊下へ向かう。
リエヴルの部屋のドアノブに手を掛け刹那、硬直した。
こんな姿を、友に見せられるか?
否、それよりも…… 今、彼の姿を見て、
血を啜りたいという欲望を、抑え切れるのか?
まだ鮮血の味の残る喉奥を、ごくりと鳴らす。]