[快楽に溺れたからと言って、普段から本能のままに動いていたわけではない。
隠さず使えば殺されるかもしれない、なんて誰でもわかること。
だから隠した。
捕まったとき、一緒にいたテオドールに見られないように気を遣ったのはこのせい>>0:189。
檻をいきなり手で破壊すれば、何か勘繰られてしまう可能性があったから。
だから気の紛れるもの――甘味で衝動を誤魔化した。
抑えるために食おうとしているのに、邪魔をされれば怒るのも当たり前>>0:144。
獲物が目の前でちょこまかしてるのに食えない。
それを誤魔化すために食べようとしてるのにできない、このもどかしさ。
前者は気を付けていればいい。
しかし後者は中々大変だった。
隙あれば邪魔する輩>>0:198、食べようとしているときにない蜂蜜>>0:171。
衝動を抑えるためだというのに、邪魔する分子が多すぎる。
邪魔しないでくれと思っても、教えることはできず注意するだけに留めるしかなかった。
それに加えて、衝動のスパンが短くなる事に。
人格の崩壊が進むにつれ、“甘味”を感知し辛くなっていた。
食べても味がわからない。
年々満足できなくなる。
注文が増えるのはこのせいだった>>0:150。
年々満足できなくなる。衝動が抑えきれなくなる。
それでも何とか抑えに抑えた。周りのためではなく自分のために。]