[ぱさりと落ちた花冠を目で追って、束の間、吸い寄せられたようにそれを凝視した。
数秒の間を挟み、視線は花冠が飛んできた元を手繰る>>0:188]
……貴女、は。
[奇妙な既視感はあった。
けれど、それが何かは思い出せない。
訝しがるように口を噤んで、そっと首を傾けた]
どこかで、お会いした事があったでしょうか?
見たところ、貴女は天使ではないようですね。
私は長いこと地上におりましたから、どこかで姿を見たのかもしれませんが――
[そう言葉を継いだのは、彼女の側もこちらに見覚えがあるような素振りを示したからだ。
穏やかに語りかけながらも、その実、向けた言葉には先手を打って牽制するような意図も沈む。
この身が魔に落ちてから、彼女と関わった記憶はないはずなのだが、果たして――]**