― 中庭 ―
[そろそろ付きっ切りのお世話は卒業する月齢になってきたけれど、それでも出来る限りは傍にいてあげたい時期だ。
先輩騎竜師もその辺りは理解があって、『いっそ宣伝マスコットにでもなってもらったら?』なんて快く屋台に連れてくることを許可してくれた。
それでも式典の間だけは施設に預かってもらっていたので、今は少しばかり甘えたな様子だ]
ほら、お客さんがきたから、お口放して。
[そう言いながら、服の裾を引っ張る。
ココンは少しばかり抵抗する様子を見せたものの、不意に口を開くと、そのまま何かを目で追うように横を向いた]