− プラメージ王国軍野営地 −
[ 引かれてきた馬にまたがり、野営地を一巡りすることにする。
拠点の設営はほぼ終わっていたが、まだ足りないというように土塁を積んだり、逆茂木を増やしている者もいた。
精強なゼファー兵を恐れているのでもあろうし、何かすることがある方が落ち着くのだろう。
それでも、ざわつく気配は感じ取れる。>>15
王国兵は徴兵だから、元が職人であったり農民であったというのが見て取れることも多い。
殊に、義勇兵は装備が正規のものではなかったから、すぐに見分けがついた。
それらの兵が肩を並べて作業している様子に、同胞意識が育っているのを感じる。
元々、この兵らはゼファーと戦うために来たのではない。
沿岸を荒らす海賊を追い払うために駐留し、訓練を続けてきた者たちだ。
それが軍事国家ゼファーを相手にすることになって戸惑いもあるだろう。]