[隠し通路は一本道で、男は迷うことなく奥地へと辿り着く。
通路を抜けると奥行きある空間が広がっており、中央には広く深い湖があった。
その中央には巨大な岩が聳え、岩には剣が一本突き刺さっている]
ここが封印の地……。
あの剣は、もしかして。
[聖剣、と口の中だけで男は呟いた。
男の一族の祖は魔人の封印に関わっており、その時の逸話は継承譜にも残されているもの。
シェーンバルト王国の祖が使用していた聖なる剣が封に使われたことも、そこには記されていた]
何百年と封じ続けて居られるとは。
余程強い力を持っているのだろうな。
[感心するように男は言う。
しかしそれが誤った認識であることを男はまだ知らない。
継承譜から零れ落ちた真実は、数百年を経て、平和な国に大きな災いを齎さんとしていた]