[実際この艦に乗ってからというもの、与えられた部屋で眠ったことがない。それは学生の頃から変わらぬ習慣であり、目の前の友人もそれは知っている筈。分かっているのかそれ以上追及することはなく話題を変える]
「でも本当に気をつけろよ。スパイが潜り込んでるって噂もあるしな」
[口調は変わらないが、友人の目の端に浮かんでいた笑みが消えたことで自分もだらしなくついていた頬杖をやめて姿勢を正した]
…噂?
[自分はそんなものを聞いたことはないが、友人は自分よりも階級も高く、自分が持ち得ない情報をどこからか聞いてきたのかもしれない]