― 戦場北方・旗艦ヴァンダーファルケ ―
[艦隊後方より迫り来る水雷艇母艦あり>>5:382
その報は、見張り台より既に出されていた。
見れば後方、西の海に砲を構えた水雷艇母艦の姿がある。
追い詰めるではなく、だが着実に詰め来る艦の動き。
さてはと思うものがあった。
あれが彼の艦なら──…つと、ゲオルグの目が細められる。]
巡洋艦に信号。
旗艦の護衛は必要なし。後背に備え応戦せよ。
あれに来られちゃ厄介だ。
…この先の邪魔をされちゃ叶わない。
[既に動き鈍った巡洋艦は、戦艦に追いつけぬと見たのだろう。
艦首を返して応戦の構えを見せている。
それを助けるように、巡洋艦がもう一隻舵を切る。
南北に、交互重なり合うように艦首を向けるその姿は、絶対にここを通さぬとの意志を西の艦隊へと伝えるだろう。]