― サシャとの部屋 ―
[ それは夜への一歩手前の黄昏時。響き渡った2発の銃声。
嫌な予感と共に部屋から飛び出ようとするも、サイレンが鳴り響き階級を持たない一般兵の外出の禁止がアナウンスにて命じられる。
思わず立ち止まり放送の流れるスピーカーを茫然と眺めると、すごすごと部屋の中へと戻るだろう。
それからはベッドの上に膝を抱えるように座り、じっと訪れることのないサシャの帰りを待ち続けた。
どのくらいの時間がたっただろうか?
もう夜の帳が下り辺りが闇で満たすころ、カシムは何を思ったのかのろのろと起きだし着ぐるみに触れる。
幾ばくかの間そのまま撫で続けていたが、途端に涙が流れ出す。
漏れ出す嗚咽は止めようがなく―― ]
…ぐっ、ふっ、ぐっ、っすす……
……なんで、帰って来ないのでありますか!
………なんでっ!!
[ ――そのまま泣き崩ずれるように着ぐるみへと抱き着き決壊したように泣き続けた。* ]