そんじゃあ、こっちも、お返しさせてもらうとするかね。
[ふわり、宙に浮かんだ状態で、血石に食ませる、紅。
立て続けの術行使による限界は見つつ、それでも躊躇う事はない]
全ての礎、我が根源に応じよ。
揺らげ、揺らげ、水の底たる礎よ。
転がり踊り、飛び跳ねろ!
[空間に魔法陣を描いた後、短剣の切っ先を向けるのは、川面──の奥の、川底。
ほんの一部分、地面を揺らす事で、川そのものに衝撃を与え、間接的に船を揺らす試み。
呪を放った後、視線は一度後方──カトワールの方へ。
そちらから近づく気配が何かは悟れる。
もう少し、と念じつつ、今は、指揮官を──ベネディクトの意識を、己へと引きつける事に集中した。**]