[指示を待ちながら考える。
今一番守らなければならないのは誰だ。
――いや、本来なら全員を守らねばならない。
だが、今一番抜けられて困るのは誰だ。
順当に考えれば副長だ。
だが、彼はスパイでないと言い切れるか?
彼は此方側の人間だと、信頼できるか?
……彼は大丈夫だろうと思う。
スパイなら、権力を使って我々を追い出せばいい。
所詮軍隊は階級制の組織。
艦長のいない今、彼に命令されれば従う他ない。
それをせず、状況把握をするために指揮を取るのは、此方側だからだろう。
もし騙されていたなら、自分の目が節穴だっただけだ。]