[花ひらく深紅の薔薇。椅子に腰掛け、それを見守るかのような体勢の男の姿。個室の主の姿があるにも関わらず声を掛けなかったのは、彼の両腕が欠けているのが見えたから。この状態でどう見ても生きているわけがなかった]……これは、あの時と同じ……?[冷静なようでいて僅かに声を震わせつつ、亡骸の傍に近づく。喰い千切られたかのような傷口にも、身体に走る爪傷にも、既視感があった]