―朝・宿屋―
[環境が変わったせいか、つい寝過ごしてしまい――とは言え、充分に早い起床ではあるのだが。
少し慌てて階下に下りる。
談話室に顔を出すと、大人たちは、もう朝食の用意を始めていた。
リゼットも手伝えることを探して朝の準備を終わらせると、シモンがゲルトの不在を不思議がる>>7]
ゲルトさん、宿にいないんですか?
どうしたんだろう……。
[ゲルトの人となりには詳しくないが、活動的でないことくらいは知っていた。そんな人物が災害的な大雪の中、わざわざ外出するなど、余程のことだ]
いってらっしゃい。……気をつけて、くださいね。
[大雪の中の人探しなど、リゼットは役に立てないし、大人たちも少女を参加させはすまい。
だから、ゲルトを探しに行くシモンたちを見送って。
彼らが戻ってきたらすぐに体を温められるよう、暖かい飲み物と毛布を用意して待つことにした]