『またどっかの国で戦争だってよ』
『あー、やだねぇ。傭兵連中にとっては飯の種だろうが』
『で、どこの国だって?』
『何でも、グリュンなんとかっていう小さい国――』
[がちゃん。
大きな音を立てて食器が割れる。
自分の手から落ちたものだとは気付いたが、謝罪の言葉より先に、噂話に興じる酔客の方へ歩み寄っていた]
ねえ、今の話本当なの?
グリュングレースで戦争が起きた、って……。
[何も言わずに出て行ったきりの故郷だった。
けれど嫌いな場所だったわけではないし、両親だって友達だって、元気でやっていて欲しいと思っている。
だから必死に話を聞き、その後もとにかく情報を集めようとあちこち駆け回ったりして。
そんな姿が、師匠にどう映ったかはわからない**]