― 音楽室 ―
[ひとしきり曲を弾き終ると、満足したように楽器を下した。
久しぶりに弾いたせいか、変なところに力が入ってしまい、腕が妙に固くなってしまった。
肩を伸ばしながら立ち上がり、空気を入れ替えようと窓を開く。
秋が始まったばかりの、冷たくなり始めた風が気持ちいい]
秋風はたくさん浴びたほうがいいのよ。
でも、お願いだから落ちないでね。
[かつて彼女に言われたことをちいさく1人ごちて、誰が手を入れているのか、相変わらず小ざっぱりと美しい庭を見おろした。
もしそこでまだマリエッタ>>15がスケッチをしていれば、ぱっと顔を輝かせ、おーいなんて声をあげて手を振るだろう。
この窓から降りるにはどこの足場を使えばいいんだっけ?なんて記憶を掘り返しながら]**