― 数日前 ―
[セルウィンが駆る翼に身を委ね、複座の複葉機の後部座席に収まって、つかの間の空中遊覧を楽しむ。
複葉機の後ろには、使者の印として白い布が長くたなびいていた。]
今回は、宣戦布告の文書を届けに行くだけです。
お使いが終わったら、さっさと帰りましょう。
[風に負けぬよう声を張り上げて話しかける。]
もっとも、素直に帰してもらえなかったら、その時はよろしくお願いしますよ、セルウィン。
[階級ではなく名で呼ぶのは、彼が小鴉の一員であるとの認識から。
自分自身は小鴉の一員ではないが、彼らとの関わりは深い。一時期は資金も提供していたし、共に活動することも多かった。
例えば今のように。]