― 始まりの刻/洞窟 ―
[王都からも程近い場所にある小さな洞窟。
男がその場所を訪れたのは、失われた継承譜を再編するためだった。
古い伝承に時折現れるその洞窟は、かつて魔が蔓延っていた時にとある魔人が封ぜられたと言う逸話が残っている。
それを知る者は少なく、恐らく今では男の一族と一部の者しか記憶に留めていないことだろう]
…更に奥がある、と聞いているが。
[一見すると行き止まりだが、その先には巧妙に隠された道があった。
シェーンバルト王国に平和を齎した封印の地。
ここを紐解けば一族に伝え行く継承譜も完成に近付くと信じ、男は隠された道の奥へと足を踏み入れた]