[カレルはできるだけ多くの人に未来を繋ぎたいと願う。敵討ちに身を焦がすでなく、自分と違う考えを持つ者であっても。ゆえに、エトヴァルトに治療を施し、ギィにすら「わが民たれ」と手を伸ばしたことを悔いはしない。それは、ひたむきに真っすぐな「カレル」にとっては是だ。けれど、「王」として法治を行う立場では、多勢の人を生贄に捧げてきた者を見過ごすことはできない。エトヴァルトにも死罪を申し渡す以外にないことはわかっていた。ウエストポーチの中の髪留めを握りしめる。]