宴には、作法があるものです。
一人が昼に死んだなら、一人が夜に死ぬものと。
[まだ人間の姿ではあったが、
紅く輝く瞳は獣のそれであるのを隠しもしない]
ですが、もう御開きの時間です。
選んでいただいて結構ですよ。
――どちらが先に『眠る』のか。
[最期まで自分なりに闘おうとした2人への敬意は、
人間には惨たらしい選択肢の形で差し出される]
大丈夫、心配はいらない。
どちらにせよ、すぐに会えますから。
先に逝ったサシャたちとも、家族とも。
[不器用に浮かべた笑みは、寡黙な青年そのもので。
かける言葉はまるきりの本心でしかなかった]