[階段の下にコンスタンツェの身体が引いた血の筋>>2:133は
丁寧に布で拭われて、今はその跡を残してはいない。
そしてその布は今、この窓辺に置かれている。
―――“対話”には対象の血を使う。
その性質ゆえに、少なくとも己や、己に『力』を伝えた夫は
自然死においてこの儀を執り行うことはなかった。
不自然な死因による死や、疑わしきを見極める為に用いるもの。
本来は、死者に礼を執るためにも遺骸と対面で行うことが多いが
コンスタンツェの遺骸に対しては、ローレルの様子を鑑みるに
通常の形式をとることは不可能と思われた。
とてもではないが、『妹の骸を見せろ』などと言い出せはしまい。]