― 太陽の眠る間 ―
ローゼンハイム少将、お一人ですか?
[月が真上を過ぎる時刻に
駐屯地の敷地から離れた場所で上級官を発見した。
護衛もつけずにどうしたのだろうかとそれとなく訊ねれば
これが習慣なのだと言う。]
……夜の散策とは風雅ですね。
お邪魔でなければご一緒してもよろしいですか。
[趣味を褒められ悪い気はしなかったようで
同行を許可される。
夜の静寂に響かない程度に言葉を交わしながら進むうち、
誰とも会わない事に気付いた。
一人で出歩いているのを見咎められると煩いので
人目につかない道を選んでいるようだ。
見張りの配置を決めた人間なら、目を潜るのも容易いだろう。]
上級職となれば何かと息も詰まることでしょう。
ですがやはり、夜の一人歩きは危ないかと。
[進言ではありませんと微笑んで、一言を添えた。*]