ここまで懇切丁寧に説明してやったんだ、後は察しろ。[立ち上がり、背中を見せる。質問は一切受け付けん、という態度であった。石造りの門の前に立ち、何事かを唱えれば、ガラガラと石は地に落ちて、入り口が開いた。途端、迷宮の中に閉じ込められていた瘴気が、生き物のように吹き出した。小さな風の精霊をかき消してしまう勢いで、勇者たちに襲いかかる。魔族らを追うのを止めるかのように。入り口の奥は闇に包まれており、先が見えない。まるで巨大な生き物の口腔のように、ぽかりと開いている。]