― 天使の翼教会 ―[箱舟の側で祝福を与える役目に没頭していた天の子は、不意に作業を止めて歩き出した。なにごとかと向けられる人々の視線をすり抜けて教会に戻る。向かう先、黒衣まとうひとを見つけて、微笑んだ。] 影の───[言葉を途中で止めたのは、かの御方が翼を露わにしていなかったがため。小首を傾げてから、幼子の前に屈むひとの前へ進み出る。]