[ 強く握りしめた筆の折れる音で ローレルは夢から醒めたように瞬いた。 ] …あ、ああ。 いえ…なんでもありません。 わかっていますよ。 ボクは自分自身の為になら――、 平穏に生きるためなら誰を裏切っても構わない。[ 対する相手は隣国の使者。 ラメールの王宮に仕える者に似せた服装を 面白くなげに見遣って画家は続ける。 ]