おい、ユーリエ! 、 ……[いくらか焦って声を大きくしかけたが、気持ちよさげな寝息が聞こえ始めれば口をつぐんだ。どうしたものかの顔で暫く寝顔を眺めていたが、落とさないよう抱えなおし、歩き始める。居残り組でも、どこかに野営の準備くらいしているだろう。気の利いた仲間の兵に毛布をいくらか借りて、夜露の当たらないところにユーリエを寝かせておく。事情を知らない兵たちからは揶揄の声が掛かったが、トールを知る相手からは驚愕の視線が飛んできた。]