―早朝―
[烏の不穏な鳴き声に鼓膜が震え、浅い微睡から目覚める。
腕の中の存在は、カラスによって
連れて行かれるのではないかと思っていた。
褐色が昨夜心に刻んだのは、マレンマだったからだ。
孤独な未来を自ら望んでいるのか、
今現在が孤独で、助けて欲しいと訴えているのか、
自分には解らなくて、結局―― 名を刻んだのだった]
[マレンマの腰から腕を抜き、不穏なカラスの響きをしっかりと聞くため
ずるり、毛布から半身を起こした。
隔離されたのはカスパルで、カスパルはウサギだという――
絶望的な、言葉だった]