―温室―
うわー!すっげー!なんだこれすっげー!
[ローレルと連れ立って温室に到着すると、視界を覆い尽くすほどの薔薇たちが出迎えてくれた。
咲き誇る薔薇は、見たことのない、自分の語彙では形容すら上手く出来ないような色の物まであって、思わず感嘆の声が出てしまう。
しかし、本当に、本当に「凄い」としかいいようのないくらい見事な薔薇園で、まるで別の世界に迷い込んでしまったかのような錯覚さえ覚えるほどだったのだ。
その温室の中央には天然の物であろうモミの木のツリーがそびえており、派手ながらも品のある飾りとイルミネーションを纏っていた。
ツリーの天辺にでんと構える星は大きく、温室を照らす照明を受けてキラキラと輝いていた。]
うわー、こんな所があったなんてなー。
教えてくれてありがとな、ローレルのおねーさん!
[温室に咲く薔薇にも負けないような満面の笑顔を咲かせて、子供のように(現に大人と呼ぶにはまだ少々頼りない年齢ではあるが)はしゃぐ。
その表情に先程までの不安気な様子は微塵も無く、たしなめられるか、あるいはひとしきり騒いで満足すれば室内のベンチにでも座り、今度は静かに薔薇を鑑賞をするだろうか。]