[未完成の球体間接人形>>1:80は、どこか悲哀を帯びていた]
(なぜ、ゲルト君だったのか。)
(なぜ、昨日夜中に小屋の外に出た兎は無事なのか。)
[可能性を頭のうちに展開しても、こんがらがるだけだ。]
[遅れて行った先の朝風呂で、タクマの姿を認めては、ひどく傷ついた風な幼馴染に、声すらかけられずに体を洗う。]
[昨日のあまり根拠があるとは思えない>>7は、冷静さで包み隠しながら――盲目的に恐怖を排除しようとしていたように見えて。
この中に狼がいる、といわれても
そんな彼は狼であるとは考えづらかった。]
[湯船につかる間、]
…あんま抱え込みすぎんなよ、タッくん。
[そう、声をかけるのが精一杯だった。]