― 回想 ―
[表通りにあるその店で少女が買い物をした数は少ない。
故郷の村に雑貨を売る店はなかったので、
表通りを散策する折、物珍しさからひっそり覗いていったことは幾度もあるが。
ある時、店主の誕生日が近いと聞き、
お礼も兼ねて何かプレゼントをしようと思い、
渡されている小遣いのいくらかを持ってその店に足を踏み入れた。
店のカウンターに立っていた人は大きな鞄を背負った銀髪の女性と談笑中だったが、
構わず店内を巡ることしばし、
迷った。
何を買ったらいいのか。
そこで店の人におすすめの品を訊いたのだが、
その場に居合わせていただけの女性も一緒になって相談に乗ってくれた]