[己が出自や、亡き父の事は知らない。
けれど、『それ』の存在には気づいていた。
──大鎌アヴァーンガルデ。
一人でも生きて行けるだけの、自分の身を守れるだけの力が欲しい、との願いに応じるように現れた銀月の牙。
一人旅に出て、最初に辿ったのはその来歴。
ただ、それは容易い道ではなく。
かつて魔族の戦士が振るっていた、という事実に辿りつき、自身も魔の者と見なされ追われた。
他者の──人の害意に晒されたのは、その時が最初。
その場をどうにか切り抜け、これからどうするか、思い悩んでいた時。
目の前に舞い降りたのは──]