[宿屋の前で警戒に当たっていた騎士へ声をかけて、聖地周辺の地図を見せてもらう。
件の妖術師はどこからどう攻めてくるだろうかとしばしシンキングタイムを挟んだのち、スミ湖と聖地を守る堀とを結ぶ川を真っ直ぐなぞった。]
例の化け物がどのくらい水辺から離れることができるか。そして、どのくらいのスピードで地上を移動できるか。それはまだ分からないけど、奴らの体質的に聖地に近づく一番確実な方法は、この川の流れに乗ることだと思う。
ただ、堀は聖地の周囲をぐるっと一周しているから、具体的にどこから攻め込んでくるかまでは読みきれない。化け物に突破されないよう、塀の内側にまんべんなく防御陣営を引ければいいけど、さて。
[騎士団にも、”もし必要なら、川が一番危なそうって偉い人に伝えておいてください。”と伝言を頼んで地図を返し、ゆるゆると歩き始める。
そのとき、魔物が放つ生臭い臭いが辺りに漂っていることに気付いて、整地には似つかわしくないと顔をしかめた。]