[それでも] 例え、どんなに壁が厚かろうと。 俺は、行かなきゃならねぇんだよ! ……あいつとの、約束のためにも![自分にも譲れぬものがある。だから、退くわけにはいかない。跳ね上がるように身を起こし、膝を突いた姿勢で右手に携えた太刀を後ろへ流し。切っ先を地に擦らせるように滑らせた後、立ち上がる勢いを乗せて一気に斬り上げた。切っ先が描くは、月思わせる弧の軌跡。踏み込み足りぬ閃は、対する男を捉えるには僅かに足りぬ。だが、剣圧を持って隙を作るのであれば、事足りる]