神父 ジムゾン

　君知ってるかい？　この船にはホログラムの船長と乗員たちの羊とウサギと猫がいて、それはもうとびっきりもっふもふでもふーっとした至高の毛並みの持ち主だとか！
　ああ、そういえば船長は最初に挨拶してくれたっけかね。
　そりゃもうぶんぶんと握手もしたものだった！
　ここの羊と猫とウサギはとてもホログラムとは思えないくらいのもふもふの毛並みが素晴らしい！
　そう！　俺はその秘密を盗みに来たもふもふ泥棒なのさ！！
　折角なら猫とウサギの方も、滞在期間中にひともふお願いしたいものだなあ。
　猫はいいぞー、気儘に走り回ったり飛び回ってるときのしなやかな動き方だとか、さわると指通りなめらかな毛並みの奥にやわらかさとかたさが一緒に感じられるあったかい温度。足の上とか毛布の上に乗って来ると完全に文鎮になって動かせなくなっちゃうところとか、あれは完全に人間を操る方法を知っていてやってるやつだね！　忙しい時でも上目遣いににゃあ（はーと）とか言って見上げられると全ての作業を放り投げてしまう！！　くるんと猫鍋に入ってニャンモナイトしてる姿も最高だ！
　あ、職場にねこがいるものだから、どうもねこの話の方だけ解像度が高くなってしまって申し訳ないね。
　どこかにウサギ派がいてウサギのことも熱く語ってくれるなら、それは大歓迎だ！
　そういうわけで、産業スパイであるところの俺は、彼らのもふもふの秘密を盗み、しかるのち全宇宙にもふーっとした技術を広め、そうして宇宙はもふっとした生き物に支配され、カワイスギなクライシスを起こし、全てはもふもふの毛並みに呑み込まれるという寸法だ、すごいだろう！