―第2エリア・レストラン―
[ 船内勤務時代は此処の珈琲を良く飲んでいた。
同じように珈琲を飲みに来ていた船員仲間が居たと思うが、今はどうしているだろう。
普通に考えなくとも勤務時間中なのだが、既に男は長時間星間移動による時差ボケ中である。
馴染みの席に通され、注文を聞きに来たのは2年前にも居た馴染みの女性ウエイトレス。]
久しぶり、お姉さん。俺のこと覚えているかい?
相変わらず可愛いな。いや、少し綺麗になったんじゃないか?
[ これに色目とウインクを付与すれば、幾らかサービスが付くはず。
数分後にはウエイトレスが上機嫌で注文した珈琲と『ささやかなおまけ』の桃色のマカロンのセットを席に運んで来る。
品を確認し「ありがとう」とウインクをお礼に投げ、軽く手を振り笑顔で見送る。
2年前と何も変わらない日常の姿。
世の中とは常にギブアンドテイクで成り立つもの。
苦い珈琲と甘いマカロンを口に入れ、確認書類を記入し、今はささやかな休憩を楽しむとしよう。]