― クレイグモア騎士団長の家に伝わる物語 ―
[王様は、長い戦いの末に、独りとなりました。
愛するべきものを失った地で暮らし
守るべきものを失った空の下にいるのは
ひどく耐え切れないことだと。
若くして騎士団を率いる立場になったご先祖様は、王様の宝を預かりました。
いつの日か、王様が再び故郷の半島にに戻ってくる日の為に。
魔物に呪われ破壊されたこの地の復興に尽くすと。
毒の色に染まった湖が
死者の腐肉の匂いが充満した湿地帯が
怒り続ける火山が
妖精も悲しんだ枯れ果てた森が
そして、災いにより滅んだ人の都が
王を苦しめぬよう安らかな地に戻るその日の為に
父様も、その父様も、ずっとずっと父様も
王様を待ち続けているのです]