─ 中庭 ─
ウェルシュ、王子…………。
[ ウェルシュ王子の傍らに跪く。
あたしには、
王子とリヒャルトの関係はわからない。
ましてやそれを手に掛けた者との想いも。
紅く広がる血溜まり
慌ただしく動く軍の人間たち
きっとすぐにでも、
軍医が到着すればリヒャルトの身体は
そちらへと預けられることになるのだろう
幸い未だ咎められていないけれど
このあとあたし自身も、王子の傍らから
引き剥がされることになるだろう
それでも、それまで。
あたしは彼に声を掛けることは可能だろうか]