― 沐浴場 ―
[ヴィンセントの腕にある小さな姿は、おそらく教会の者だろう。
聖なる気配と、どこか同族の匂いがする。
それが野茨公の元へ移り>>233、脇をすり抜けて行く。]
えぇ、おかげさまで。
野茨公は随分とお疲れのようですし、少し休んでいただいても構いませんよ。
[彼の周囲を纏う茨もその身体も、決して全快とは言い難い。
だからと言って自ら血を提供することはなく、皮肉交じりの言葉を投げかけた。]
最初に遊んでくださった方が意外と面白い方でしたので、傍観に回ろうとしていたのですが、少し、気に入らないことがありました。
ですので、八つ当たりをしてきます。
[にっこりと微笑んで、そこでようやく腕の中にいるそれへと視線を移す。
まだあどけなさの残る寝顔はどこかで見たような気もするが、子どもというのは数年で大きく姿を変えるものだ。
それを理解する程に他人を記憶に留めておく趣味はない。
すぐに興味を失って、視線を逸らした。]